よく「元本保証でお金が増えるものはないか?」と言ってそういった商品を探す人がいます。
また「元本保証じゃないと投資なんかしない!」という方もいます。
実はプロの意見で言うと「元本保証で増えるものはないか?」というのと「楽して痩せるものはないか?」っていうのはだいたい同じ意味になります。つまりそんなものは「ない」という事です。
まず投資をする際に必ず耳にする「リスク」という言葉の概念から理解していきましょう。
「リスク」と聞くと多くの方は「危険なもの」という連想をされるのではないでしょうか?
しかしながら、投資や金融、経済学の世界では「リスク」は一般的に「ボラティリティに関する不確実性」と解されています。※ボラティリティは価格が変動するという意味です。
難しそうですね。でもかいつまんで言うと「価格が変動します。その結果どうなるか分かりません」という事です。
「ハイリスクハイリターン」という言葉をよく聞くと思いますが、おそらく減る方がリスクで、増える方がリターンって思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。
グラフをみて頂くと、青色のラインとオレンジ色のラインがありますが、青色のラインの方が価格の振れ幅が大きいのでリスクが大きいと言います。オレンジ色のラインの方は価格の振れ幅が小さくなっているのでリスクが小さいと言います。
実はリスクというのは減る方だけでなく、増える方の事もリスクって言うんですね。
下がるリスクの事を「ダウンサイドリスク」、上がるリスクの事を「アップサイドリスク」と言います。
つまりどっちも「リスク」なんですね。プラスのリターンもあればマイナスのリターンもあるのです。
リスクというのは変動するという事なので、「リスクがない」というのは、つまり「価格が変動しない」「減りも増えもしない」という事になります。
最初の話に戻ると「元本保証」というのはつまり下にブレるリスクはない(価格が変動しない)という事になるので、上にもブレないという事です。だから元本保証で増えるものはないんです。
銀行預金がいい例です。銀行預金は減る事はありませんが利息はスズメの涙程度しかありませんので、ほぼ増えません。
投資でお金を増やそうと思ったら必ず「リスク(=価格が変動するもの)」を取らなければならないという事になります。
それでも元本保証で増えるものはないか?と探している方にお灸を据えるために具体的な例を挙げてみましょう。
○「巨額詐欺事件テキシアジャパン」
事件の概要は以下の通りです。
「被害者13,000人、被害総額460億円」
「元本を保証、月利3%の配当を約束」
これまでの文章を読んだ方なら何となく分かるかと思いますが、こんな分かりやすい詐欺はありません。
「元本保証」の商品はあり得ます。現に銀行預金(1,000万円までですが)がそうです。
「月利3%=年利約42.5%」の商品もあり得ます。FXとかやった事ある方なら分かるかも知れませんが、年利1000%とか出す人もいます。※一般の人はFXはやらない方が良いです。
でも「元本保証」で「月利3%」を同時に満たす事は出来ないのです。
でも多くの人が在りもしない幻の「元本保証」を求めて巨額詐欺事件にのめり込んでいった訳ですね。一人当たり約350万円ぐらい損しています。おそろしい金額です。
そもそも元本を保証して出資金を集めるのは「出資法違反」です。実際この罪状でこの事件の首謀者は捕まっています。
「元本保証でお金が増えるもの」を探していても一生見つからないか、詐欺まがいの投資話に騙されるだけなので諦めましょう。
お金を増やそうと思ったら必ず「リスク」を取らなければならないのです。
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