よく投資はリスクがあるからやりたくないという人がいます。
でも、何もしないからリスクはないというのは誤りです。
リスクというのは投資の世界では「ボラティリティに関する不確実性」と解されています。
難しく聞こえるかも知れませんが、「ボラティリティ」は価格変動の事、「不確実性」は今後どうなるか分からないという事を指します。
つまり「価格が変動します、その結果どうなるか分かりません」という事を一言でったのが「リスク」という言葉になります。
何もしない事にとって起こるリスクは、インフレリスクです。
インフレというのはインフレーションの略で長期的に物価が上昇していく事を言います。
反対語でデフレ(デフレーション)という言葉があります。これは長期的に物価が下がっていく事を言います。
今の日本はデフレ気味である事は何となくニュースとか聞いている感覚で分かるのではないでしょうか?
インフレ「リスク」なので、物価が上がると「何か」が変動する事を意味します。決してインフレは「危険」と言ってる訳ではないです。
実はその変動する何かが、皆さんにとって大きな影響を及ぼすんですね。
皆さん物を買ったりする時、お金を使いますよね?
実はお金というのは、物を買う以外使い道がありません。
物を買うと言いますが、厳密に言うとお金と物を交換しています。
なので、物の値段とお金の価値というのは密接な関係があるんですね。
例えば何でもいいのですが、ある物が現在1個100円で売っていたとします。
10,000円で100個買えますよね?
それが1個200円に値上がりしてしまったとなると、同じ10,000円で50個しか買えなくなってしまいます。
お金を物に換算した時の交換レートが悪くなっていますね。つまり、物価が上がるとお金の価値が下がります。
逆に1個50円になると、同じ10,000円で200個買えるようになります。つまり物価が下がるとお金の価値が上がります。
なんか物価が下がってお金の価値も上がるデフレの方がいいじゃんって思われるかも知れませんが、デフレというのは経済にとってはあまり良い状態ではないんですね。
デフレスパイラルって社会の教科書で習いませんでしたか?
デフレというのは、みんなが思い切ってお金を使えない心理状態の時に起こります。
今でいうと、年金もらえるかどうか分からないし、医療・介護制度もどうなるか分からないし、会社倒産したらどうしよう、会社首になったらどうしようとか。
なので、必要以上にお金を溜め込もうとします。
そうすると、例えば製造業とか販売業をやっている会社だと、在庫が残ってしまうと赤字になってしまうので何とか安くても売ろうとします(物価が下がる)。
そうすると、企業の業績が下がって、皆さんの給料が下がって、また財布のひもが固くなって…という風にどんどん経済が悪くなっていってしまうんですね。
なのでデフレというのは経済にとって天敵です。
今、日本では「インフレターゲット2%」という事で政策で物価を上げようとしています。
「2%なんて大したことないじゃん、100円が102円になるだけでしょ?」っていう声が聞こえてきそうですが、そんなに甘くないです。
何故なら1年だけ2%上げて、それで終わりじゃないんですね。その次の年はまた2%、またその次は更に2%という風に徐々に上がっていきます。
1.02×1.02×1.02×1.02×1.02×1.02×…こういう計算式になります。
実際あまり上手くいってないんですが、本当に2%ずつ物価が上がっていった場合、現在の100万円の価値はどうなっていくかというと、
例えば今25歳の方は40年後65歳になりますが、何も運用せずにその時に持っている100万円をずっと銀行に預けたままにしておくと、100万円という数字は変わりませんが、その価値は今でいう約55万円分の価値まで落ちてしまう事になります。
現在70歳の方の大卒初任給はおおむね3万円です。ところが現在の大卒初任給はおおむね20万円ぐらいです。
現代においては3万円では暮らせませんよね?でも当時は3万円で暮らせたのです。その時は物価も安かったからですね。
現在の初任給は約20万円なので、その頃と比べると6倍ぐらい物価が上がっているのではないかという事が推測できます。
つまり、裏を返せばお金の価値が6分の1に落ちているとも言えます。
「リスク」というのは「変動する・不確実」であると言いましたが、物価の上昇・下落によってお金の価値も変動します。
リスクが怖いからと言ってせこせこ貯金していると確かに残高は増えるかも知れませんが、インフレによってその貯金の価値はどんどん落ちていく可能性があるのです。
なので、何もしないからといって「リスク」はないという事はないんですね。
資産運用をやってもやらなくても、どっちもリスクはありますので、諦めて資産運用をしましょう。
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